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此処はTW2シルバーレインのキャラクター「守衛・刹那(b34281)」についてのブログです。 シルバーレインと関係の無い方々のコメントやリンク等は許可致しません。ご了承下さい。
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午前10時頃、刹那が寝ていたはずの部屋には誰もいなかった。

志貴は首を傾げた。昨日、確かに此処に寝かせた筈だ。修一郎を吹き飛ばした痕である窓ガラス(鋭意修理中)がある部屋なのだから間違いは無い。
「………ん?」
ふと、その窓から外の庭を覗く。そこには。
「…っ、…は、…はぁっ」
木刀で素振りをしている刹那の姿。それに何となく安堵して志貴は外に出る。
「もう身体は良いのか、守衛」
志貴が声を掛けると刹那は驚いたように振り向く。
「………」
「……おい?」
刹那は言う。
「……誰、ですか?」

「つまり、記憶が無いと?」
「えぇ、そういうことになりますね」
志貴は刹那と向かい合って座っていた。志貴が聞いた話を纏めると、刹那は自分の名前、そして自分が能力者であるということ、誰かの死の瞬間。それらの事柄しか覚えていないということだった。
「参ったな……」
志貴は暫く考え込む。こいつ頭の記憶回路がショートしてるんじゃないだろうか、などと思う。当の本人は目の前でお茶を啜っているわけだが。
「お茶を淹れるのが上手ですね、志貴さん」
何となく違和感を感じる志貴。何というか、普段と比べて軽さがなくなり、落ち着きと丁寧さの増しが尋常じゃないので背筋が寒い。
「……とにかく、この件は明日の朝にでも話そう。俺はこれから野暮用があるのでな。明日の朝、また来よう」
そう言うと志貴は立ち上がる。因みに野暮用とは彼の「仕事」のことである。外に出る前に彼は振り返った。
「それと、お前は外に出ない方が良い。どうせ何も分からんのだろう?」
頷く刹那。志貴はそれを確認して外に出た。
「……他のメンバーにも話さねばならんだろうな……」
志貴は携帯を取り出すと電話を掛け始めるのだった。


「……それにしても」
刹那は仰向けに畳の上に寝転んだ。既に陽は傾き、鮮やかな金色の光が部屋に差し込んでいる。
「……僕は……何か、大事なことを忘れている……」
まるで自分の中にあった目標というか、自分を突き動かしていた秘めた感情のようなもの。それが抜け落ちているような感覚に陥っている。その感覚の気持ち悪さに少しだけ表情を歪める。
「……外出禁止って言っても……このままじゃ埒が明かないんだよね……」
一刻も早くこの感覚をどうにかしたいのである。
「………」
ふと、何故か壊れている窓から外を眺める。そこから見えるのは見覚えの無い筈の町並み。だが、それは確かに見慣れた風景なのだと、刹那の中で確信めいたものが渦巻いている。
「外に出てみよう。このままじっとしてはいたくない…」
刹那はそう決めると和服からジーンズと黒いシャツに着替える。
「………」
蒼かった空は夕焼けで真っ赤に染まっている。いや、赤、というよりは琥珀色。その色は何故か刹那の頭にノイズを走らせた。
琥珀色の空、真っ赤な鮮血、地面に突き立てられた剣、蒼い髪の少女。白いコート。
「……何だ……今の……」
まるで雑多に並べられた風景画のようにそれらは一貫性が無く、静止画となって頭の中を横切る。懐かしい、そして哀しい記憶。彼の中にまだ、完全に失われていない記憶が欠片となって現われては消えていく。
「………」
沈んでいく夕陽に目を向ける。何か、思い出せそうな気がして。
「……刹那兄?」
不意に呼ばれた名前に驚き、声の主を振り返った。そこに居たのは黒い長髪の少女。
「……僕?」
聞き慣れない『兄』という単語に首を傾げる。少女はやれやれ、といった風に首を振る。
「他に誰がいるんだよ?また頭でも打ったの?」
また、って何だよと思いながら刹那は思考する。
(参ったな……僕を兄って呼ぶってことは、この女の子は僕の妹なんだよな……記憶が無いなんて知られて気を遣われるのは嫌だし……)
刹那の心境も知らずに少女は刹那に詰め寄る。
「本当に大丈夫?何か元気ないね?」
「いや、何でもない。大丈夫だよ」
刹那の返答に少女はそっか、とだけ答える。二人で少しだけオレンジ色の町を歩く。脇道に入ると急に人気が無くなっていることに気づいた。周りに家はほとんど無いに等しい。
「それはそうと、刹那兄は此処で何をしてたの?黄昏てたみたいだけど」
「別に何もしてないさ。夕陽を見てただけ。お前は何してるんだ?」
少女は微笑する。その微笑は、確かに見たことがある……刹那はそう感じた。
「これから結社の皆で料理を作るんだよ。神威も来ないか、って誘われてね。刹那兄も来る?」
(…この子は神威、っていう名前なのか……)
刹那は首を横に振る。
「いや、僕は用事があるから止めておくよ。悪いね」
「ううん。それじゃ、またね。刹那兄」
「あぁ……またな、神威」
神威は踵を返し。
「!」
神威はそこで足を止める。
「……神威?どうしたんだ?」
刹那はそれに気づいて声を掛ける。神威は少し振り返る。
「刹那兄。あれ、見て」
「え?」
神威が指さした方を見る。その先にあるのは。
「……あれは……!?」
一人の少女だった。小学校の制服を着ているようだが、別にその少女自体を指したのではない。問題はその行動。その少女はナイフで青年を滅多刺しにしているのだ。
青年は既に事切れているのか反応がない。
「……」
刹那と少女の目が合う。少女は可愛らしい外見に似合わない、狂気に満ちた笑みを浮かべる。
「お兄ちゃん……見つけた……」
少女は血濡れたナイフを持って歩み寄って来る。その足には鎖が付いている。
「……刹那兄、ゴーストだ」
「…・・ゴースト……」
志貴から聞いたゴースト。記憶には無いが自分は確かにゴーストと戦い、殺しあって来たのだという。
「………」
しかし、見た目は幼い少女だ。自分は、本当にこんな存在と戦っていたのだろうか?
「刹那兄!」
気がつくと、既に自分の目の前に少女はいた。
「お兄ちゃん……待ってた……」
少女が刹那の腹部目掛けてナイフを振りかぶる。
「イグニッション!」
同時に神威は叫びながら少女を突き飛ばした。吹き飛び転がる少女。
「何やってるの!?早くイグニッションしなきゃ!」
立ち上がる少女は今度こそ狂気のみに満たされていた。
「貴女、邪魔するんだ……私のお兄ちゃんだよ……誰にも渡すもんかァ!!」
少女は尋常じゃない速さで刹那に跳びかかる。神威は未だ生身である刹那を庇うように立ちふさがり、その手に持った刀で切り払う。少女はナイフで受け止め、反動で後ろへ跳んで着地する。
「刹那兄!戦うつもりがないなら下がって!邪魔だよ!」
神威がそう叫び再び斬りかかる。
「……これが……戦い……」
刹那は記憶を失ってから初めて見るゴーストと能力者の戦いに於いて何もすることができず、ただ呆然としていた。だから、気付かなかった。
「キシャアッ!!」
金属音と何かの音を合わせたような音と共に、刹那の左肩に何かが噛みつく。それは猫のように見える。だが、歯は釘になっている。
「ぐ……ぅあ……!」
思わず、倒れる。猫は心臓目掛けて釘を立てるが、持ち主の危機にカードが反応して刹那はイグニッションする。同時に猫を振り払う。
「刹那兄、大丈夫!?」
神威が一瞬だけ刹那に気を取られた瞬間、少女は神威を押し倒し、馬乗りになる。
「が、はっ……」
刹那は戦い方も分からずに、更に群がる妖獣に牙を突き立てられる。
「…死んじゃえ……」
少女は足で神威の両腕を抑え、神威にナイフを振り下ろす。戦闘不能までいかずとも、相当なダメージは逃れられない筈だ。
刹那は霞む視界にその光景を捉える。
(……こんなところで、死ねないのに……! それに、神威まで……僕のせいで…っ……そんなの、そんなの……ダメだっ!!!)

刹那の願いが、もう一人の彼を呼び覚ます。
刹那の雰囲気が変わる。へたれたそれから戦に特化した者へと。
「……失せろ」
紅の双眸で自分に噛みついているネズミのようなゴーストを睨みつけ、引きはがし、地面に叩きつける。即座に腰に差した刀を抜き放ち、迷わず突き刺した。
「!?」
妖獣は銀色の粉となって消える。それを確認しないで神威と少女に振り向く―と同時に水で造られた手裏剣を投擲する。それは的確に少女の腕に突き刺さり、少女は痛みに仰け反り思わずナイフを取り落とす。
「…! 今っ!」
神威はその一瞬の隙を見逃さなかった。隙を見て引き抜いた刀を迷わず少女の腹に突き刺した。
「うぁぁ!!」
少女は悲鳴を上げて転げる。神威は立ち上がって距離を取る。そこへ、刹那が歩みよって来た。
「……セツナ兄……」
セツナは神威の頭にポスッと手を載せる。
「……おい、お前」
セツナが少女へ声を掛ける。
「お前は何がしたかった?何を求めた?」
少女は苦しげに答える。
「……変なおじさんに、刺されてね……私の……お兄ちゃん……何処かに、行っちゃった……私もね………そ、の……おじさんに………変なこと、されて………お兄ちゃん、どこ……置いてかないでよ……寂しい、よ………」
少女は恐らく、自分がどういう存在なのかすらも理解できていないだろう。だが、言葉の端から何があったのかを想定することは容易かった。
「……もうすぐ、逢える」
刹那は刀の切っ先を下に向ける。
「お兄ちゃん、だぁ……えへへ………私ね……私………」
焦点の合わない眼でセツナに語りかける少女。それは仮初の命の終焉を示していた。
「……じゃあな」
短く、それだけ言うとセツナはその手を放した。刀は真っ直ぐ少女の胸を貫く。
少女は、笑っていた。

「……セツナ兄」
「…何だ?」
少女の遺体は放置してきた。恐らく通り魔か何かのせいになるのだろう。
「……あの子は、お兄ちゃんに逢えたかな?」
「……さぁな」
そっけなく答えるセツナ。その眼に悲しみを見ることはできない。いや、浮かんでいない。
「……神威。お前が聞きたいのはそんなことじゃないだろ?」
頷く神威。
「……今は、まだ何も言えない。だけど、いずれ話す」
神威はしばし迷ったが、頷いた。
「分かったよ……」
セツナは僅かに微笑を浮かべた。
「……大分遅くなったな。約束があったんだろう?」
まだ夕陽は沈んではいない。未だ、道を赤く染めている。
「うん……それじゃ、またね」
神威は走っていく。セツナは横目でそれを見送る。神威の背中が完全に見えなくなると、視線を夕陽に戻す。
「………」
セツナは瞳を閉じた。それが、先ほどの少女への哀悼の意だったのか、それとも違う何かか。
それを知り得るのは彼のみだった。












後書き
今回は漆名・神威背後さんの許可を得て神威を登場させていただきました。
刹那の義妹なのですが、とても可愛らしい子ですね。個人的には大好きなキャラクターです。
信頼してる分刹那も頼って迷惑をかける、というのが多いですが。(汗)
因みに、このSSを書くのにかなりの時間が掛かったりしています。(笑)
では、またお会いしましょうー。




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