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金属がぶつかり合い、銃声が、絶叫が響き渡る。俺は荒野を縦横無尽に駆け、全てを切り払った。血も、鉄も……何もかも薙ぎ払う。
戦場に響く音は暫く鳴り続いていたが、やがて消え……とても静かになった。
……やっと、終わったか。
此処は日本のある地方にある荒野だ。俺達は任務で此処に来ていた。
俺はアタラクシア108。能力者集団「アタラクシア」の一員だ。……まぁ、この集団についてや俺が此処に所属している理由なんかは後々話そう。
「帰還するぞ。」
近くにいた上官の命令に従い、俺は他の連中に続いてその場を後にした。元より、戦いが終わった後の戦場になんて興味は無かった。俺の存在は戦いによって示される。場所が何処だろうと構いやしない。
「よく帰った。諸君。……ナンバー108、前へ。」
俺がアタラクシア本部に戻って最初に聞いたのは機械じゃねぇのか、と思うほど無機質な男……この組織の最高司令官……「ナイト」の声。因みにナンバー108は俺の事だ。
……最高司令官が直々に…何の用だろうか?
「この戦いにおいて君は誰もが目を見張る働きをした。」
「……いえ。それ程の事はしていません。」
「謙遜することはない。何、君をアタラクシアの幹部にしようと思ってな。」
後半は小声だったが、俺はその言葉に目を見開いた。嘘だとも思ったが、この男は嘘をつくことは滅多に無い。こんな時に個人的な攻撃はしないだろうし、ナイトに恨まれるようなことをした覚えは無い。
「本当ですか?……しかし、宜しいのでしょうか?私のような若輩者が……」
「不満かね?だが、私の目に狂いは無い。」
自信満々だ。それがこの男なのだが。
「……了解いたしました。それで……幹部と言われましても何をすれば言いのか……」
「後で司令室へ来たまえ。そこで君の今後についての説明をしよう。」
他の団員に聞かれないように話すとナイトは踵を返し、去っていった。
……幹部なんてどうでもいいんだけどな。俺は他の仲間に何を言われたのかを聞かれながら、複雑な気持ちで自室へ戻った。
自室へ戻ると俺は戦闘服からこの組織の団員であることを示す制服と白いジャケットに着替える。鏡には適度な長さの黒髪と紅い双眸が映っている。この眼の色は結構気に入ってたりする。身だしなみを若干整えると、俺は司令室へと向かった。