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此処はTW2シルバーレインのキャラクター「守衛・刹那(b34281)」についてのブログです。 シルバーレインと関係の無い方々のコメントやリンク等は許可致しません。ご了承下さい。
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願って、すぐ傍にあるモノでは無いのだろう―



「てやああぁっ!」
「GAAAAAA!」
刹那が甲式と戦闘を開始する。同時に能力者達は鏡の前へと集まった。
「……行こう」
須田は鏡へ触れる。すると、鏡が発光し……
「消えた……」
光が収まると、須田の姿は何処にも無かった。この鏡がこの世界から逃げ出す道であることは間違いない。そう確信し、他のメンバーが鏡に触れようとする。
しかし、鋭い咆哮にコトが振り返った。そこには、首を掴まれ、刀を地面に落とした刹那の姿があった。
「…!」
「コト!」
誰かが反応した時には、既にコトは甲式の下へ走っていた。
「そいつを放しなさい!!」
コトは地面に落ちた刀を両手で持ち上げると、その場で反回転する。遠心力を利用し、振るわれた刀は甲式の脚を斬り裂いた。甲式が刹那を手放すと同時にコトも勢いを殺し切れずに地面へと転がる。
「ググ……GAAAAA!!!!」
「……あっ……」
コトが甲式を見上げる。その時には、その巨大な口がコトの眼前へ迫っていた。
全力で駆けて来る仲間達も、間に合わない。



私、死ぬのかな?

今になって命が惜しくなった自分に可笑しさを感じて少し笑えた。そして、目を閉じる。

次に聞こえたのは何かが噛み千切られる音、あやめが悲鳴を上げたのが聞こえた。痛みは、感じなかった。


「………何、してるんだよ……」

それもそうだ。だって、

「あ、ああ………」

喰われたのは、私じゃないのだから。



左腕を喰い千切られた刹那が右手に刀を握り、四本ある脚の内のニ本を斬り、甲式を転倒させた。
「刹那、それ……」
刹那はコトの指摘に苦笑した。
「うん、流石に痛いね。…さ、もう行ってくれ。危ないだろ」
刹那は再び甲式と対峙する。だが、その肩に手を置く者が居た。
「え?」
刹那が疑問符を浮かべた時に、既に彼らは走り出していた。



「「「「イグニッション!!!」」」」


そう、銀誓館学園能力者が本来の力を発揮したのである。
彼らは数秒前に気づいたのだ。自分たちを取り囲んでいた霧が晴れている事に。
「―――!」
甲式が彼らへ巨大な拳を撃ち込む。先程までならば大きな脅威であった拳。だが、今の彼らにとってそれは遅い。あまりにも遅すぎた。
「何処を狙っている?」
志貴が詠唱ライフルで甲式の片目を撃ち抜いた。
「余所見をしている暇はありませんよ?」
あやめが投擲した結晶輪が腹部を貫き、その周りを凍りつかせた。
「遅いんだぜ!!」
悶絶する甲式へ迅が突撃槍を構えて突撃した。突撃槍は甲式の肩を貫通する。
「これで……どうだ!」
修一郎の長剣が甲式の右腕を斬り落とした。
「GAAAAAAAAA!?!?」
甲式が初めて苦痛に醜い顔を歪めた。能力者達は攻撃の手を緩めずに、確実に甲式へと攻撃を続けた。

「凄い……」
コトが呟く。刹那は刀を杖代わりにして立ち上がる。
「……あれが、本物の能力者の力、か……」
彼は、甲式を圧倒する能力者達を眩しそうに見たのだった。


「GAAAAAAA!!!」
全身に傷を負った甲式が咆哮した。地面が抉れ、辺りに石や土が飛び散った。
「……! 早く鏡から元の世界に戻れ!」
刹那の叫びを理解できずに能力者達は鏡へ目を向ける。
「あぁっ!!」
鏡には亀裂が入り始めていた。今までの戦闘の余波か、先程の甲式の咆哮によるものかは分からない。だが、鏡が壊れれば元の世界に戻ることはできない。
「急げ!」
能力者達は一斉に駆け出す。だが、激昂した甲式もまた、彼らを追って鏡へ近付く。
「まずい……このままじゃ……」
このままでは鏡の下へ甲式まで到達してしまう。その場合、何が起こるか分かったものではない。
「……コト、この刀、君にあげるよ」
「……え?」
コトは、刹那の言葉が理解できなかった。

刹那は、甲式に向かって走り出した。残った右手に短刀を逆手に握り、甲式を斬りつける。甲式の動きが止まった。

「……!」
鏡の下へ着いた誰もが驚愕を隠せなかった。だが、刹那は笑った。
「……コト、元気でね。…皆、本物の刹那に……よろしく頼むよ」
「刹那!?」

鏡が、光を発した。それは志貴を、あやめを、迅を、修一郎を、コトを包み込んだ。

そして、後に残ったのは満身創痍の少年と、同じく傷だらけの化け物だけだった。


「……やっぱり、僕はフェイクだ。彼らに追い付くことはできない」
彼は右手のナイフを握り締めた。
「だけど、それでもやらなきゃならないことがある」
彼は低姿勢でナイフを構えた。
「少なくとも、お前を滅し、この世界がどの世界にも繋がらないようにしなければならない」
彼は、駆けた。
甲式は拳を放つが、彼は跳躍によってそれを回避し、甲式の額へナイフを突き立てた。それは深く突き刺さり、甲式の動きを止めた。
「G、GG、GAAAA………!!!」
だが、動きの止まりかけた甲式は口を大きく開ける。口から、鋭利な槍が飛び出した。
恐らく黒曜石で出来ているであろう、光沢を持った槍。それは彼の胸へと深く突き刺さり、貫通した。
「あ……が、は………・」
渾身の力でナイフを額から脳天へ通した。斬り通した反動で勢いよくナイフは後方へ飛び、少し離れた地面へ突き立った。
甲式は、ゆっくりと闇に溶けるように崩れていく。そして、彼もまた、闇へ飲み込まれていった。

(……あぁ、これでやっと眠れる………)
消えていく世界。この世界を形成するコトと彼。二人が消えたことでこの歪んだ世界すらその存在を薄れさせていく。
ふと、彼は闇の中に光を見たような気がした。だが、きっとその光は自分のものでは無いのだろう。
彼は目を閉じた。

(なぁ、僕は………)
彼は、自分の行動を後悔していなかった。
(少しでも、能力者に………刹那に、近づけたのかな―――?)
闇に飲まれると同時に、彼はそんなことを思った。




そして、歪んだ幻想は完全に崩れ去った。














後書き
お久しぶりです。背後です。
色々と忙しかった事もあり更新が停滞していましたが……いかがでしたでしょうか?
勿論不満はあるとは思います。(設定が違うとか口調が違うとか台詞が少ないetc...)
まさかこんな長期にわたって連載することになるとは思いませんでした。病院の件別に無くても良かったんじゃね? とかそういうのはナシの方向で。(ぇ

一応、エピローグを考えておりますので、そちらでまたお会いしましょう。本編は此処で終わりとなります。
ここまで読んで頂き、本当にありがとうございました!

他の作品も宜しくお願い致します。それでは。

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