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彼はこの組織の総帥であり、並はずれた戦闘能力を持つと聞いている。自分の目で見たことは無い。
…度々思うが、この組織は案外適当だと思う。一般団員をいきなり幹部、だからな。俺は例外らしいが。
ナイトは俺に椅子を勧めると資料を取り出した。どうやら俺についての資料のようだ。
「……並外れた判断力、戦闘技能……何よりその強靭な心は最強の武器。それらを持ち合わせているようだな、君は。」
「いえ、それ程ではありません。私は上官の命令に従っているだけですから。」
「命令無視もしたそうだが?」
「………。」
事実だ。…まぁ、上官があまりにも阿呆なのだから仕方がない。無能な上官について行けば部下は命を落とす。
「まぁそれは良い。結果を最優先に考えろ。死ななければ良い。それだけだ。」
どうにもこの司令官は読めない。人間的であり機械的な感じもする。……人間である筈だが。
「さて、本題に入ろう。君はアタラクシア幹部としてこれからの戦闘の指揮、作戦の考案をしてもらう。今までのように、ただ戦っていれば良いという訳ではなくなる。この先は君の判断力が重要になるのだ。」
「……買い被りではないですか?私はそんなに出来た人間ではありませんよ。」
フッ、とナイトが笑う。……「人間」という言葉に反応したように見えたが、気のせいだろうか?
「言った筈だ、私の目に狂いはない。」
……またこれだ。大丈夫か、こいつ。そんな俺の気も知らずにナイトは俺の目を見据え、問う。
「……一つだけ問おう。君にとって戦うという事はどういう事だ?」
急に何なんだ?……そんな事、決まっている。
「……戦いは私の存在意義です。」
俺がそう返すとナイトは、どこか哀れみのような……それでいて楽しそうな色を含んだ眼で俺を見た。
「そうか。ならば良い。明日からは他の幹部と協力して事に当たりたまえ。」
「…他の幹部?」
「そうか、君には紹介していなかったな。……明日の朝、紹介するとしよう。」
ナイトは楽しそうな表情でそう言った。……何なんだ、全く。
「失礼します。」
踵を返すとナイトに呼び止められる。
「君のコードネームを決めていなかったな。……その迅速な行動から、「セツナ」というのはどうかね?」
セツナ、か……ナンバー108よりは良いか。それに、名前という物は気に入った。
「了解しました、ナイト。」
敬礼し、俺は部屋を後にした。
「……セツナ……期待している。」
ナイトの呟きは誰に聞かれる事もなく虚空に消えた。
後書き
文章をもっと上手く書きたい……読んでくれてありがとうございました!
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