隠された真実・３

廻る、廻る―

side:Setsuna&Jin
「……学校？」
「そうみたいだぜ。……ん？」
迅が茂みから出ようとして何かを蹴とばした。拾い上げたそれは銃器だった。
「……こんな所に武器があるぜ？」
「……都合良すぎだね」
刀だけでも戦えるだろうが、やはり遠距離から攻撃できる武器は頼もしい。刹那は散弾銃を取った。
「……どうする？　学校に脱出の手がかりなんかあるのかな？」
此処には病院があることを思い出す。ふと、目の前にある大樹に目を向ける。
「……この樹、血が付いてる」
「ん？」
迅も樹に目を向ける。そこにはまだ新しい血痕が残っていた。
「…この学校で何かあったみたいだぜ？」
「……行くしかないよね、こういう場合」
「……だな」
軽くため息をついた二人は学校へ入って行った。

二人は玄関から入った。廊下は真っ直ぐ続いている。
「……足音？」
刹那が呟く。向こうから誰かがやってくる。
「……刹那、こっちだ」
迅が下駄箱の陰から手招きをしていた。刹那も下駄箱の陰に身を潜める。
「……………」
「……………」
暫くすると、小柄な影が玄関までやって来た。二人は慎重にその正体を確認する。
「……おいおい……」
「いきなりなんだぜ……」
それは異形と化した少女だった。玄関のドアを暫くガンガンと叩く。
「アカナイ……アカナイ……センセイ、ダシテ……」
そう呟くと異形はまた廊下の奥へと歩いて行った。
「扉は開いてるぜ？」
迅の言葉に刹那は頷く。
「生前の行動をトレースしてるんだ……」
下駄箱の陰から出ると、彼らもまた廊下の奥へと進んで行った。

「………教室に入ったね……」
「覗いてみるんだぜ」
ひょい、と窓から覗きこんだ二人。
「………授業……？」
「………なんだぜ……？」
教室の中では数体の子供の屍人が椅子に座って手を上げている。全員手に持ってるのは鉛筆では無くナイフだ。…血まみれの机に字（と思われる）を刻んでいるようだ。
血まみれの黒板の前には太った男が立ち、何か音を発している。……合成音で生徒の名前を呼んでいるように思われるが………。
「…とりあえず、離れようか………」
刹那が一歩後ろに下がる。と、何かにぶつかった。
「迅、気をつけてよね。音をたてたら気付かれるだろ？」
と、真横にいた迅に視線を向け。
「あれ………？」
ぶつかったのは背中。迅は真横。
刹那は黙って視線を後ろに向ける。少女がいた。

「………ミィツケタ……ケタケタケタケタケタケタ！！！！」
笑う屍人を蹴り飛ばす、同時に目の前の扉が開き、先ほどの子供と男性の屍人が襲いかかってきた！
「うわあああっ！」
刹那が散弾銃を構えると同時に２体の子供がナイフを刹那の脚に突き立てた。迅が狙撃銃で男の頭を撃ち抜く。男が倒れると同時に刹那に取りついていた子供が吹き飛ばされた。刹那が散弾銃で頭を吹き飛ばしたのだ。
「近寄るなァ！！」
刹那が散弾銃で更にもう一体の頭を吹き飛ばす。迅が教室から鉄パイプを引きずってきた子供の頭を狙撃銃で撃ち抜いた。
「刹那、大丈夫か！？」
刹那は暫く傷を抑えていたが、やがて立ち上がった。
「あぁ、大丈夫だ。それより、先に行こう」
そう言うと、刹那は一人で歩きだした。…血は、ついていない。
「しかし、此処はまだまだ敵がいそうだね。気をつけていこうか」
「……刹那」
「ん？」
思えば、いくつか不審な点はあった。
例えば崖から落ちた時。刹那は何故怪我をしていなかった？　あの高さから落ちたのであれば死んでいてもおかしくはない。
いや、刹那は黒いロングコートを纏っていた。彼の黒いロングコートはゴーストと戦う時に纏う特別なコートだ。
イグニッションが起動したのだろうか。
……いや、それはない。
何故ならば。


あの時、あの場所は例の霧に覆われていた。だから、迅はあの周辺でイグニッションできなかったのだから。


迅が狙撃銃で振り返った刹那の眉間に照準を合わせた。
「…………お前は、誰だ？」

振り返った刹那に、表情は無かった。














後書き
次回も刹那（？）と迅がメインになるかもしれません。未定ですけどねっ☆（殴
7000Hitが近い……！
皆さんありがとうございます！